第1038回 例会 2023年3月8日(水)
更新日:2023/03/08
第1038回 例会
1.点鐘
3.稲垣善朗会長 挨拶
皆さん、こんにちは。
ゲストのご紹介をいたします。
東京藝術大学名誉教授の上原利丸さんです。
卓話では「アートとして本友禅染めの多様性と独自性~着物を中心に日展や現代工芸美術の作品について~」というテーマでお話いただきます。
よろしくお願いいたします。
担当は加藤伴子君です。
さて、先日友人と話をする中で、「清水を飛び降りたという気持ちで行動する」という話がありました。
皆さんもご存知でしょうが、高いところから飛び降りる気持ちと何かを決断する時の気持ちがよく似ているということです。
京都旅行の定番コースに清水寺があります。
清水の舞台に行きますと京都の街並みが大変よく見えて、そこから下を見ますと、14mほどありますので、足のすくむような気がします。
実際に清水の舞台から飛び降りた方が何人もいらっしゃいました。
近くに成就院というお寺がありまして、庭が大変綺麗なところでございます。
1694年から1864年の記録によりますと、飛び降り事件が235件、234人の方が飛び降りたというそうです。
内訳としては男性が約7割、女性が約3割、年代的にも、若い方は12歳くらいから御年寄は80代の方まで飛び降りていたそうです。驚くのは、生存率が85.4パーセント、案外飛び降りても助かった方がいるということです。
飛び降りる目的は、自殺ということではなくて、清水の観音様に命を預けて飛び降りて、もし助かったならば願いが叶うという風習をもって飛び降りた方が多いようです。
ちなみに、どんな願いごとだったのか記録が残っておりまして、家族の病気完治や若い女性の恋の願いや悩みを思って飛び降りていたようです。
中には若気の至りで、勢いで飛び降りた人もいるようで、明治5年の禁止令が出まして、そういった風習も廃れてきました。
これから暖かくなりますので、京都に旅行に行かれて、清水の舞台に立った時には、これだけの人数が飛び降りたということを思い出していただきたいです。
また、個人的には清水の舞台何回か行っているのですが、清水の舞台の裏側に少し登るところがありまして少し暗いのですがたくさんの仏像が並んでおります。
仏像のすぐ近くまで行ける機会もあったりしますので、是非行ってみてください。
これから暖かくなりますので、旅行やスポーツを楽しんでください。
4.食事 (会長)
5.丹羽 修幹事 報告
(1)次週15日は、定款により休会です。お間違いないようお願い致します。
(2)3月22日(水)の例会は、12時30分~アンフォーレにて開催致します。
12時よりお食事が出来ます。出来るだけ12時30分までにお済ませ下さい。また遅刻されてもお食事出来ます。
(3)トルコ・シリア地震の義援金は送金させて頂きました。
(4)他クラブの例会変更は事務局にお問い合わせの上、メーキャップをお願いいたします。
8.本日の例会
卓話 :『アートとして本友禅染めの多様性と独自性~着物を中心に日展や現代工芸美術の作品について~』
卓話者 :東京藝術大学名誉教授 上原利丸様
卓話担当:加藤伴子君
昨年の三月に大学を卒業しまして、現在は名誉教授として色々な大学に関わりつつ、また自分の制作活動を行っております。
今日は「アートとして本友禅染めの多様性と独自性」ということで、少しでもお役に立てたら、と考えております。
今日は、東京芸術大学の美術館で行われた退任展の内容と、中国技術学院で行われたオンラインの国際シンポジウムの内容をまとめて、卓話として皆さんにお伝えできたら、と考えております。
これが大学美術館を通ってすぐのところに四点ほど展示してある振袖です。また奥に見えるのは名古屋帯です。
染帯で、五メートルほどの長さです。
動画にまとめてきましたので、ご覧いただきたいと思います。
~映像鑑賞~
長い動画がYoutubeにも上がっていますのでお時間がある方はご覧ください。
【日本の衣装について】
着物の特徴として、13メートルほどの布一枚から、切り捨てることなく作られます。
普通の洋服に比べて、SDGsにもかなっています。
また、リユースリサイクルの考え方からしても、傷んだ位置をずらして仕立て直すので、理にかなっています。
また絵柄のアート性もあります。
着物というのは、13メートルくらいの布を縦に裁断して作るので、開いてみるとちょうど一枚の布になります。
とても生地を大事にしていますね。
また、友禅というものは、宮崎友禅斎という人が、17世紀後半に確立したと言われていますが、正確にはよくわかっていないそうです。
特徴として、図柄が自由で明快に表現出来ることできます。
糊を使って塗り分けることで、絵のように描くことができます。
また、刷毛を使って塗る方法もあります。外国と比べてパターンにとらわれず、不規則な図柄をしていると言えます。
これは図録から持ってきたものですが、市松模様と自然の模様を組み合わせています。
普通は異質なものを組み合わせるとうまくいかないのですが、着物の場合は面白く着れたり、四季を織り込むことで一年中着れるようになったりします。
またこれはとても友禅らしく、多色の模様染めではなく、糊を使って構成していく本友禅染といわれるものです。
傘や鶴があしらわれています。
傘のところを見ると分かりますが、染まっていないところがあります。
ここが糊の部分ですね。
私の退任展の振袖は、松竹梅があしらわれおり、立体的に見えるよう作りました。
見る方向によって違う色に見えます。
この作品のコンセプトはアートをそのまま着るというものです。
もう一つの作品は顔料を多く使っています。
やはりごわつきますので、着るように作るには染料を使う必要があります。
実は同じ色を違う染色の仕方で作っていて、面白いと思います。