第1128回 例会 2025年5月21日(水)
更新日:2025/05/21
第1128回 例会
ビジター:第2760地区青少年交換委員会 鶴田香也乃様(安城RC)
ゲスト:おみえになりません
本日の卓話担当:青少年奉仕委員会
1.点鐘
3.弥政晋輔会長 挨拶
ちょうど今から30年くらい前のことです。
鈴木君という患者さんと出会いました。
当時25歳で、旅行代理店に勤めている方でした。
その彼が、上部消化管穿孔で搬送されてきました。
上部消化管穿孔というのは、胃に穴が開くか、十二指腸潰瘍に穴が開くかという病態です。
今でこそ、大網という腹膜の一部を穴に縫い付け、抗潰瘍薬で治療することが一般的ですが、当時はまだ効果的な薬が少なく、穴を含めて胃を広範囲に切除する手術も多く行われていました。
今回も、胃切除を選択しました。
手術が終わった後、切除した胃の標本を開いてみると、どうも粘膜面の様子が気になりました。
病室には、非常に綺麗な彼女が世話をしに来ており、鈴木君自身もとてもハンサムで、本当に美男美女のカップルだなと思って見ていました。
1週間ほどして、病理の結果が出ました。
それは、胃がんの「穿孔」だったのです。
「穿孔」とは、がんが進行して胃に穴を開けた状態を指します。
がん細胞が腹腔内に撒かれている可能性があり、それが最も怖い点です。
そのため、抗がん剤治療を開始し、注意深く経過を見守ることにしました。
もちろん、本人にも真実を伝えなければなりませんでした。
彼女の存在もある中で、病状についてきちんと説明をしました。
鈴木君は、胸のあたりに手を当てながら話を聞き、話し終えると、その手の爪痕がくっきりと残っていたのを今でも覚えています。
半年が経過した頃、ついに恐れていた腹水が溜まり始めました。
CTを撮ると、お腹の中に大小の腫瘤が散在しており、もはや抗がん剤治療では対応しきれない段階となっていました。
そこからは、痛みを和らげること、少しでも楽に過ごせることを第一に考え、とことん寄り添う覚悟を決めました。
入退院を繰り返す中で、鈴木君から「両家の両親に話をしてほしい」と頼まれました。
今後の交際のあり方も考えてのことだと思い、ご両家の前で、これまでの経緯とこれから起こりうることを丁寧に説明しました。
「これで交際は終わるのかもしれない」と思ったのですが、彼女はその後もずっと、最後まで付き添っておられました。
体力がかなり衰えた頃、鈴木君が「京都に旅行に行きたい」と言いました。
到底そのような体調ではありませんでしたが、現地で万一のことがあってはいけないと、これまでの治療経過や必要事項をすべて紙にまとめて彼に渡しました。
「何かあったらこれを見せなさい」と言って、2人は旅行に出かけました。
2日目くらいに電話があり、「向こうの病院に緊急入院したけれども、対馬に帰りたい」と言うのです。
どうやって帰ってきたのかは記憶が定かではありませんが、新幹線だったかと思います。
私たちは個室を用意して待ち、彼の再入院が始まりました。
ある夜、もうかなり弱っていた頃に病院から電話がありました。
「鈴木君が会いたがっている」と。
「これはいよいよか」と思い、自転車で2~3分の距離を急いで病院に向かいました。
その時、心の片隅で「最後に感謝の言葉でもあるのかな」などと、いやらしい期待をしてしまった自分がいたことを、今でも反省しています。
病室に入ると、彼の口から出たのは「首が痛い」という一言だけでした。
首の位置を整え、鎮痛剤を投与して、その夜は帰りました。
その1週間後、彼は亡くなりました。
さらに1週間ほどして、彼女が外来を訪れ、封書を渡されました。
その中には、綿々と綴られた感謝の言葉がありました。
それまでの私の座右の銘は「住めば都」でしたが、この経験を通して、少し患者さんに思い入れすぎたと反省しました。
それ以来、もう1つの座右の銘を加えることにしました。
「明日は我が身」です。
5.杉浦秀郎幹事 報告
(1)先週のミャンマー大地震義援金について、4万2,300円を送金させていただきました。
(2)次週例会終了後、定例理事会を開催いたします。よろしくお願いいたします。
(3)本日、会員台帳を配布いたしました。内容をご確認のうえ、訂正・変更などがございましたら、事務局までお申し出ください。
(4)ロータリー手帳が届いております。ご利用を希望される方は、事務局までお申し付けください。
(2)ロータリーの友5月号のご紹介 (雑誌委員会)
〇 睡眠不足の健康影響について
〇 青少年奉仕機関の活動について
〇 デジタル人材育成の課題について
〇 八王子デジタル教育支援協議会の活動について
(3)カラオケ同好会よりご案内 (カラオケ同好会)
【ロータリー青少年交換の目的】
〇 青少年を通じて世界平和に貢献する事業
〇 16歳から19歳の高校生が親善大使として海外に約1年間滞在し、文化交流を行う
【歴史】
〇 1929年にフランスのニースで開始
〇 1939年に米国と南米間で交換開始
〇 1972年に日本で正式に推奨される
【プログラム概要】
〇 3年間のプログラム構成(1年目オリエンテーション、2年目海外派遣、3年目帰国後の支援)
〇 募集は中学3年~高校2年生が対象
〇 スポンサークラブの支援が必須
〇 1年間の月1回のオリエンテーションを実施
〇 海外派遣先は複数国(米国、ヨーロッパなど)
〇 ホストクラブ・ホストファミリーが受け入れを担当
【派遣生の生活】
〇 現地の言語や文化を学びながら学校生活を送る
〇 ホストファミリーとの交流や学校行事参加がある
〇 大変さもあるが、成長の機会とされる
【インバウンド受け入れ】
〇 海外からの派遣生が8月20日前後に到着
〇 ホストクラブが約11カ月間面倒をみる
〇 研修や交流イベントが行われる
【課題と支援】
〇 スポンサークラブとホストファミリーの不足が課題
〇 金銭面の負担はあるが、地区から支援金が出る
〇 高校生のやんちゃさへの理解が必要
〇 書類作成など事務作業がある
【地域活動】
〇 毎年カルチャーフェア開催(海外派遣生が母国文化を紹介)
〇 会員の年会費の一部が青少年交換事業の支援に使われている
最後になりましたが、青少年交換事業は世界平和に寄与する意義深いプログラムでございます。
学生たちの成長や、国際交流の喜びを是非共有したいと考えておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
ありがとうございました。