第694回 例会 2014年9月24日(水)
更新日:2014/09/29
第694回 例会
ゲスト :
ビジター :寺部 曉 様 (安城ロータリークラブ)
鄭 薇 さん (米山奨学生)
1.点鐘
2.ロータリーソング斉唱
3. 会長挨拶
今年の親睦旅行は静岡に行きます。この話を少しします。
まず最初に、「うなぎパイ」で有名な浜松の春華堂で工場見学を行います。次に昼食は、鞠子の丁子屋で「とろろ」を食べます。
鞠子宿の丁字屋は、安藤広重の東海道五十三次の絵にも描かれたところです。丁子屋の「とろろ」の食べ方は、店の案内にあるように「とろろ」の中にご飯を入れる感覚で、ご飯を少しで「とろろ」をたっぷりかけて食べます。そして大事なことは、この丁字屋の茅葺屋根の店構えを見て風情を楽しむことでありす。店の前には、芭蕉の句「梅わかな鞠子の宿のとろろ汁」の石碑などがあります。そして、世界遺産「三保の松原」に行きます。ここからの富士山の眺めは、11月頃からの時期は特によく見えるようになります。皆さんと楽しく親睦旅行に行きたいと思います。ご参加をお待ちしております。
5.幹事報告(安藤幹事)
・本日例会終了後、定例理事会を行います。
・奨学金「ロータリー希望の風」の支援金ボックスを回させて頂きます。ご協力よろしくお願いします。
・広島豪雨災害への募金は30,200円になりました。早速送らせて頂きます。
・次週10月1日の例会は碧海キャッチさんでの職場例会となります。
・10月はガバナー補佐訪問など通常例会とは異なる趣の例会が多くなりますがよろしくお願いします。
・年明け1月8日の例会は18時からすずおかにて新年初例会となります。
・レジュメにて会報閲覧に必要なパスワードをお知らせしています。ご確認よろしくお願いします。
6.委員会報告
出席報告 出席委員会
会員数 64名 出席義務者数 50名 本日の出席者 53名
出席率 91.8%
ゴルフ部会
第一回三河安城ロータリークラブゴルフコンペ
成績発表・優勝カップの贈呈
優勝 竹内裕恭さん
準優勝 長田和人さん
三位 金子功男さん
職業奉仕委員会 齋藤委員長 職場例会案内
親睦活動委員会
ニコボックス報告 ニコボックス委員会
18件
7.卓話
卓話者:森田 勝己 君
題目 :経営戦略
久しぶりに壇上にあがり、緊張しています。
今回は経営戦略について、話をさせていただきます。
経営で経営者が考える最も重要なことは何かと問いかけると、経営研究会等で出てくる答えは、「人」「人材」、「技術(技術させあればよいモノが作れる)という答えが返ってくることが多い。
「信用(経営には信用が大事)」という意見もある。
他には「資金力」等、様々な答えが返ってくる。
私は、最も重要なことは「経営戦略」であると思っている。経営戦略とは具体的には、3~5年後の会社のあるべき姿、“こういうふうにしたい”という経営者の考えであり、この考えで会社が良くなったり悪くなったりする。
経営戦略が的を得ていれば会社はドンドン成長するし、そうでなければ、ドンドン衰退する。
経営戦略の上に、ビジョンと経営理念がある。経営戦略を立てる土台は、将来的な会社のビジョンが大事。目先のことではなく、10年先20年先に自らの会社はこうありたいという願望が無ければいけない。人生でもいっしょ。自分は10年後20年度どういう人生を歩みたいのかというビジョンを具体的に持たなくてはいけない。
ビジョンの先には経営理念があり、その経営理念が大事である。理念は、ややこしい部分もあるが、基本的には仕事に対する考え方を示すものである。そして、経営理念は企業の規模によって異なるものである。
生業(家族経営)をしていらっしゃる方はこのクラブにもいらっしゃいますが、生業の場合は、経営理念は関係がないと思われる。なぜなら、何のために仕事をしているのかだいたい、全員がわかっているから。
ある程度規模があって、“他人”が1人、2人と従業員として入ってくる企業では、経営のトップの「自分の会社はどういう会社でありたいのか」という考え方が重要になってくる。社員の人が物凄くヤル気になる経営理念でなければいけない。
経営理念は、社員の為にトップが「うちの会社はこういう会社にするんだよ」ということを具体的に示すことである。従って生業の場合は、家族の会話がそのまま会社方針・経営理念になるから、それはそれでよいが、企業となるとそういうわけにはいかない。
企業は、社員の方が奮い立つような考え方を示す必要がある。そうすれば社員は「うちの会社は10年後○○な会社になるんだな。だったら自分は△△しなければいけないな」と思える会社になる。
建築会社なら「快適で住みよい住空間を提供する」、こういった理念を掲げれば、社員はそのイメージを持って仕事に取り組む。
ちなみに大企業の京セラの創業者の稲森氏のことが私は好きなのだが、京セラフィロソフィーという稲森氏が「経営とはこうやってやるんだよ」という哲学を書いた本があるが、この中で、経営理念というのはだいたい一言で表すのが一般的だが、京セラの経営理念は「全従業員の物心両面の幸せを追求すると同時に人類社会の進歩発展に貢献する」とある。
だから京セラは、給料もちゃんと払って、心も満たされるような会社になりたいという事で、稲森氏は、自身が27歳の時にこの経営理念を作った。そして今日80歳になられますが、変わらずに今日まで来ている。
色々な言葉はありますが、稲森氏は自ら作った経営理念を実践してみえるということである。
したがって、経営理念は紙に書いてあるだけではダメですし、トップが常に実践している、そういう姿を従業員に見せていくということが経営理念の中で最も大切だし、生きてくるものではと思う。
稲森氏は2年前にJALを再建した。JAL再建にあたっては、当時民主党の前原氏が稲森氏しかいないと思い、日参し、引き受けて頂いた経緯がある。
3000億円ほどの赤字を出していたJALを再建するにあたって稲森氏が行ったことは2つと言われている。1つは経営理念。それまでJALにもあるにはあったが、無いのと同じであった。そしてもう1つは、有名なアメーバ経営。企業会計をしっかり行った。
経営理念は哲学だが、もう1つは具体的に数字で表すという事に尽力した。経営理念は京セラフィロソフィーに基づいて、JALもほとんど同じものにした。稲森氏が社員を説得して経営理念を植え付けたそうである。
当時、稲森氏がJALの人の話を聞くと、利益を上げるという事に皆が全然考えていない、そして重役連中もまた然りの状態であったそうだ。
そこで稲森氏は「企業というのは利益を上げないと存続できない、だからJALは倒産した」というと、当時の重役連中は「じゃあ、利益が大事か、お客の命が大事か」と問い詰めてきたそうである。その時稲盛氏は「どちらが大事かと言われれば、両方大事だ。君たちは命が大事だと思っている。でも君たちは命のことだけ考えて、利益を上げることを考えていなかった。企業はもちろん、人命は大事だが、同時に利益を考えないといけない」という事を言いたかったそうである。が、稲森氏は当時、カッとなり、おしぼりを重役連中に投げつけそうになったらしい。
利益を上げるには「数字」である。たとえばJALの再建で、社員全員が節約して利益を上げるという心構えはもちろん必要ですが、稲森氏が同時に行ったことは、東京からサンフランシスコに1便飛行機が就航したら、どれだけの費用がかかるのか当時のJALは全く把握していなかったので、そこに手を付けたのです。
稲森氏は便ごとに損益を計算させた。彼の掲げるアメーバ経営というのは、小さな単位で損益を明確にさせる事が真髄であり、結果、全ての便の費用を算出させたのです。
そうすれば、あとは簡単。赤字になる便については飛ばさなければよいわけで、廃止し、儲かる便のみ運行させた。そうしたら2年ほどの間に赤字は解消し、再上場を果たした。
経営というのは、経営者が数字に強くなければならない。
私たちは、毎月この会社がいくら儲かったかをはっきりさせることを仕事にしている。
毎月地道にやっていくのが経営の基本ではないかと思う。
理念・考え方がいかに大事かという例で、30年前の電電公社(現在のNTT)があげられる。30年前の電電公社は年間4000億円くらいの利益を上げていた。でも公社だから一銭も税金を納めていない。社員の給与は高く、そして電話料金も世界一高い状況だった。
そこから改革開放し、民間企業が参入できるようにして、公社は分社化された。JR系列の日本テレコム、道路公団がバックの日本高速通信、そして京セラがバックの第二電電。京セラは他社とは異なり、インフラのバックボーンを持たずに独自に鉄塔を立てて対応した。そもそも稲森氏が第二電電という会社を作った目的は「日本の電話料金を安くする」というものだった。他の2社は別の目的(利益を上げよう)だったので、第二電電の社員は「世界一高い電話料金を安くしよう」という理想に燃えて取り組んだ。結果、今残っているのは、第二電電から名前を変えたKDDIだけで、テレコムも高速通信も消滅してしまった。
だから、会社を作るときも、会社を作る目的が良い目的だったら存続するし、おかしな目的だったら消滅してしまう、そういう事の証明だったのかな、と私は思う。
ビジョンもものすごく大事。何十年先を今から考えると、そうならないにしても、それに近くなる、というのがビジョンの考え方。
良い例は、ワコールの初代創業者である塚本氏。彼は30歳の時に下着業界に参入した。最初の10年は研究の10年にして、20年かけて国内最大の下着メーカー・ブランドとなった。あと20年かけて世界に進出し、世界中に工場をつくり、世界のワコールになるという構想を練り、そしてその通りになった。
塚本氏は30歳の時に50年計画を立てたが、残念ながら79歳でお亡くなりになられた。しかし79歳で亡くなられた時には、すでに世界のワコールとして海外に羽ばたいていた。
「一人の人間が50年間、その仕事に没頭すれば世界一になれるという証明をしたい」と塚本氏は仰っていたが、そのくらいの気持ち・ビジョンで成し遂げられるのではと思う。
ビジョンは大きければ大きいほど良い。ビジョンが小さければこじんまりとしてしまう。皆さんもビジョンだけは、まず大きなものを抱いていただきたい。
私自身のことですが、30歳そこそこで商売を始め、ワコールの塚本氏に影響され、80歳までの50年計画というものを作りました。
そして実は来年40年目になります。「世間では会計事務所というのは、お客さんの数が100件くらいが理想である」と30歳のころには言われていました。
ちなみに、理想が100件であると、実際には100件には到達しない。日本全国の会計事務所の顧客平均は約60件と言われている。社員数も平均5名ほど。日本中の会計事務所の7~8割がそういった規模でありますが…。
私は30歳の時に「(ワコールの塚本さんの影響を受けて)社員数100名、客数1000件」という目標を立てました。
そのような目標を立てたことによって、現在ではお客様の数は600件になり、社員数も50人くらいになった。
私はまだ50年までには10年余あるから、80歳までには1000件にしようという目標がある。達成するかどうかは分かりませんが、ビジョンを持ち続けるというのが大切なことではなかろうか、と思う。
皆さんも今できる最大のビジョンを掲げて、毎日取り組めば、そうなるのではないかと思う。
経営戦略、経営において、ドラッカーという人が「経営の神様」と言われているが、その中で、経営の3要素は「ヒト、モノ、金」と言われている。最近ではこの3つに“情報”というものが追加されて話されることがあるが、私自身は情報というものは3つの要素すべてに関わってくるものであり、基本的には「ヒト、モノ、金」は揺るがない。
ヒトは、人材の育成が難しい。
金は、財務ならびに資金繰り含めた数字の問題を明確にすることが大切。最終的には、経営はすべて「数字」で表すことができるのだ。だからこそ、財務は物凄く重要。
経営者は戦略が大切である。どういう商品をどういうお客さんに売るか、という戦略を練るのは経営者は得意だから良いかもしれないが、現実的には財務を知らずに経営する人もいるし、人の採用・育て方を知らずに経営する人もたくさんいる。
最近、特に経営者が一番悩んでいると思われるのが「ヒト」。人が育たない、人が言う事を聞いてくれない等々。
人のコントロールが難しくてお悩みの経営者は、半数から7割程度もいる。
資金繰りで悩む人も多い。資金繰りがショートすると、どんなに黒字を出していても、倒産してしまう。貸借対照表や損益計算書を学ばなくて商売を始める人がたくさんいるが、それではいけないと思う。
経営というのはお金の問題・人の問題をよく勉強するしかないのだ。
そして、一番大切なのは「お客さんをつくる」ということである。
「経営の神様」ドラッカーは、経営の目的を『顧客の創造である』と言っている。私たちは、いいお客さん・たくさん儲けさせてもらえるお客さんを創ることが最も重要なことではないだろうか、と思う。
ヒト・商品・客・資金繰りを考えることが経営者は大切である。
しかし現実は、朝早くから夜遅くまで仕事をしているが、考えないで仕事をしてみえる方が多い。考えるヒマがない、というのが現実かもしれないが、経営のトップが考えることはまさに「ヒト・商品・客・資金繰り」であり、営業などは社員を育てていかなくてはいけないのだ。
そして四六時中、経営戦略を考えるのがトップの務め。
かつてGM(ゼネラルモータース)のトップであったジャック・ウエルチは、この経営戦略ばかりを考えていたといわれている。
私たちはできるだけ、3年後5年後の中期経営計画を具体的に作っていくことが良いと思う。そして経営戦略を作ったら次は戦術(1年間の計画ならびに経営方針)を経営計画発表会のような場を設けて発表するのがよろしい。そして戦闘。1日1週間1ヵ月1年の目標と実態をつくり、それをフォローしていくことが大事。
理想ですが、経営者が朝早くからそういうこと(戦略)を考える姿勢が、良い経営かダメな経営になって、長年にわたると大きな差となって現れるのではないかと思う。
皆さん、経営に現役の方は、体に気をつけて頑張って頂きたいと思う。
以上